ノートルダム大聖堂から学ぶゴシック建築とインテリアデザイン

ノートルダム大聖堂 インテリアデザイン

テレビを観始めたという記事を先日書きましたが、

インテリアに関連しそうなものはとりあえず録画しておいて、ちょっとずつ観ています。

ほんとに興味深い番組が多くて、全然観る方が追い付いてないのですが、

今日はその中でも、実際の映像で観れて感動したノートルダム大聖堂について書きたいと思います。

BSで再放送されていた「よみがえれ ノートルダム大聖堂」という番組でした。(初回放送は2023年2月)

よみがえれ ノートルダム大聖堂
2019年4月、突然の火災に見舞われたパリのノートルダム大聖堂。中世の建築の専門家や最新技術を擁する科学者たちが集結し、大聖堂再建の一大プロジェクトが動き始めた。大聖堂内部の貴重な映像や再建作業の様子を独占取材。世紀の復興プロジェクトの舞台...

皆さんの記憶にも新しいと思いますが、2019年の4月にノートルダム大聖堂は火災に見舞われました。

UnsplashNivenn Lanosが撮影した写真)

不思議と荘厳な歴史的建物って、その形が変わらずにずっとそこに存在し続けるような気がしてしますが、

この火災によって、寺院の小塔が崩れ落ち、屋根全体も崩壊するという大惨事となりました。

参考記事→アングル:「歴史が煙と消えた」、ノートルダム火災にパリ呆然

火災前の姿。中央のまっすぐに伸びた小塔と左右に伸びた屋根部分が火災により焼失。

遠く離れた日本に住む私たちにとっても、かなりショッキングなニュースでしたが、

生活の一部になっていた市民の人々の悲しみや喪失感はより一層でした。

ただ、不幸中の幸いというか、悪いことばかりではありませんでした。

修復作業を行うにあたり、これまで近づくことのできなかった細部まで調査することができ、

ノートルダム大聖堂をもっとよく知る機会を得られたのです。

修復作業で印象的だった方法

さて、本題はインテリアの方なので、修復に関しては印象的だったものを挙げておきます。

一つ目は、現代らしいテクノロジーを用いた方法です。

屋根部分が崩落したと書きましたが、大聖堂は石材の天井の上に木材で屋根を組み、さらにその上に鉛の板を敷いていました。

中央の尖塔とその下の屋根が焼け落ち、ぽっかりと穴が開いた状態。

火災直後は、その直下は瓦礫の山となっていました。

落ちた石材などの部材は動かさずにすべて写真に撮って記録し、石材には番号が振られていました。

ドローンで天井全体の空間を撮影し、3D空間をデータ化。

元の構造から、部材がどのように落下したか推測し、CGの中で部材をくみ上げていきます。

修復作業は、そのシミュレーションをもとに、再利用できる部材を番号通りに戻していくことになります。

番組で言及されていた通り、「まさに、巨大な石のジグソーパズル」。

(イメージ画像 #unsplash #Shubham Dhage )

絶望感すら漂う事故現場の映像や、平面的な部材の写真を見せられた後に、

一気に立体空間を再現した瞬間は圧巻でした。

実際には、高所作業員が地道に壁の状況など確認しながら、落下するリスクをなくすための作業などもされていましたが、

復元に向けてITがかなり助けになっているようでした。

この修復作業を経て、図面など残っていないノートルダム大聖堂の構造が明らかになってくる様子も、鳥肌モノ。

一方で職人(人間)の感覚頼みのような作業工程もあり、それも驚きでした。

インテリアを勉強していれば必ず触れる項目で、「ノートルダム大聖堂といえば」の特徴的なもの、フライングバトレス(飛び梁)。

(画像元 #AC写真 #とむやんクン

ノートルダム大聖堂は、天井高33m。

石材で組んだアーチの天井の上に、木材の屋根を組み、さらにその上に鉛の板が敷かれていたので、

そうとうな重量を下で支える必要がありました。

そのための工夫として写真にあるフライングバトレスとポインテッドアーチ(尖塔アーチ)が用いられています。

屋根の重さを直接下の柱や壁だけが受けるのではなく、

フライングバトレスは外側から屋根と壁を支え、

ポインテッドアーチは上からの重量を斜めに分散させることによって支えています。

今回の火災を受け、そのフライングバトレスを補強する必要が生じました。

ここが崩れると、建物全体が崩壊しかねないことになります。

フライングバトレスの下のアーチ型の空間に合う、長さ16m重さ8tにもなる木組みのハンガーを取り付けることになりました。

その巨大ハンガーをクレーンで移動させるのですが、作業の途中からクレーン操縦者の死角に入り、全く見えない状態になります。

近くにいる指示役のスタッフと無線で連絡を取り、言葉だけを頼りに動かします。

パッと写真で見ると、左右合わせて4~6本ぐらいかなと思うかもしれませんが、

総数なんと32本!!

数センチのズレが命とりになるような状況。

緊張と集中力を保ったまま続けるのは大変な作業だったと思います。

ゴシック建築の特徴目白押し

先ほど挙げた、フライング・バトレスとポインテッドアーチの他にも、

インテリアの勉強していると出てくる「ゴシック建築の特徴」としてあげられるものが、ノートルダム大聖堂には詰まっています。

長くなったので、その外は簡単にお見せします。

左上からリブドヴァルト(アーチを重ねて作った天井、こちらも高さを出すための工夫の一つ)、

ローズウィンドウ、ガーゴイル、トレイフォイル(三つ葉)、ステンドグラスなどなど。

昔の教会は権威性を示す目的もあったと思いますが、

天井の高さを出すために用いられた手法でも、見た目にも美しい形で実現させてしまう技術や、

装飾としての各所のデザイン性などに感嘆してしまいますね。

ちなみに、ステングラスは奇跡的に今回の火災による被害はなかったそうですが、

今回の修復作業に合わせて、詳しい調査が行われた後、すべて外されて掃除することができたとか。

終わりに

活字よりもカラー写真で観る、写真よりも映像で観る、映像よりも実物を観て空間を感じることで、

より理解が深まるのは間違いないと思います。

少し大げさかもしれませんが、インテリアデザインを勉強していると、

全く知らない人より、同じモノを観ていても、気づきや感動が多いはずです。

たとえインテリアに関わる仕事をしていなくても、知識を付けることは、人生を豊かにする趣味になると感じています。

今回紹介した番組は、また再放送される機会や特集があるかもしないので、その際は是非観てみてください。

では、また。


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