読書メモ(著者:長嶋 有)

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本を読むことが趣味の一つです。

アウトプットの一環として、読書メモをちょいちょい載せていければなと思います。

読書メモなので、書評(ブックレビュー)というほどのものではなく、簡単なあらすじと、読んで気になったところ、関連して考えたことなど(つまりは、私の自由に)書いていければと思います。

初回は、長嶋 有さんの作品を3冊いっぺんにいきます。

『パラレル』 文春文庫

あらすじ

主人公は一線から離れたゲームデザイナー、向井七郎。

題名通り、主人公と元妻/主人公と学生時代からの友人津田の関係性をメインに、「現在」と「過去」のできごとがパラレルで進んでいきます。

七郎と津田が持つ価値観(人生観・恋愛観)、元妻との離婚前後の気持ちのすれ違いや距離感が、現在をベースにしながら、関連する過去と交互に登場します。

面白かった表現

特徴的な書き方だなと思ったのは、登場人物たちの会話です。

「」の言葉の直後に、「」なしで会話が続きます。おそらく、会話としてすべて「」付きで表現し続けるとダラダラと長くなってしまうところを、「」なしの文章で続けることで読むリズムを保っているのかなと思いました。

ゲームデザイナーとしての価値観がちょこちょこでてきます。なるほどなという表現がいくつかあって、イベントを考える時のヒントになるかもしてません。

私のチェックポイント

全編通して、津田が友人の結婚式でスピーチした中に出てくる『文化』という言葉がキーになっているように思います。

結婚した2人の生活の中で築かれていくものは、マンネリではなく『文化』であり、『文化』がなくなることを人は怖れるのだというような内容がありましたが、これは愛情・友情に関わらず関係性の中に『文化』は形成されていくもので、果てはその人の生き方そのものが、その人が作り上げてきた『文化』ということになるのではないかなと思いました。

『三の隣は五号室』

あらすじ

風変わりな間取りのアパートの1室の、50年の間に住んだ13人の住人の話。

同時に13人が住んだのではなく、50年のアパートの1室の軌跡の中で入れ替わり立ち代わりした13人の住人の話です。

好み・興味・世代も異なる13人が、どんなことを考えならこの1室で暮らしていたのか。

面白かった表現

1人目から順番に進んでいくのではなく、アパートの中の物を一つの共通点として、次にそれを手に取ったり、それについてエピソードのある住人の”時点”に話が飛んでいきます。

その影響か、登場人物が多いので、おそらく順番がわからなくならないように、数字が名前に含まれているという、遊び心のある設定になっています。

それぞれの時代の特徴が物に現れていて、黒電話の時代からスマホの時代まで幅広く、人の習慣もそれによって変わるという面白さもありました。

私のチェックポイント

次々と13人のアパートでの暮らしぶりが展開されていくのですが、

中心であり、13人の共通点となっているのは”風変わりな間取りの部屋”という設定がそもそも面白かったです。

解説で作家の村田 沙耶香さんが、「生きていて何も起こらないなんてことはない」と書いていて、なるほどと思いました。

50年間にアパートで暮らしていた13人の生活は一見平凡ですが、日々の生活の連続が後に住む人へ何かしらの影響を与えており、現状の部屋ができあがっているというのは、つまりは過去の出来事と現在は沢山の点の連続により繋がっているということですね。

(余談ですがこの解説を読んで、私は村田さんに興味を持ち、著書である『コンビニ人間』を購入して読みました。)

『愛のようだ』 中公文庫

あらすじ

40歳になって免許取り立ての主人公が、様々な場面で車を運転しながら、学生時代の友人とその彼女・仕事仲間・親戚と話しながら、不器用に人との向き合い方を考え、やがて大切なことに気づきます。

面白かった表現

教習所から始まるのですが、全編通してほぼ車中での話です。

そして車の移動といえば、BGMとして音楽は欠かせません。

アニメソングから映画の挿入歌まで、いろいろな曲を出しながら、その歌詞がトリガーになって車中の会話が弾んだり、主人公が考えたりします。

(ストーリーは全然異なりますが、車での移動(正確には急停車)を一つの時間移動の表現として使っているスペイン映画を思い出しました。「アナとオットー」(フリオ・メデム監督) こちらも機会があれば紹介します)

私のチェックポイント

個々人のキャラクターがあり、表面的には見えない悩みや悲しみを抱えている登場人物たち。

主人公は、人の気持ちや考え方をよくわかっていて、空気も読みます。

けれど、別に上手いこと言えるわけでも、上手いこと立ちまわれるわけでもありません。

経験から成り行きを見守るようにしている、”ただ受け取める”という役割を果たしているようにも見えますが、

そんな人間らしさもいいなと思って見ていました。

もちろん彼自身にも、顕在化してない悩みがあり、真剣に考えることを先延ばしにしていたりもして、

それが根底にあるからこその、彼の感情の動きもまた見どころの一つだと思います。

終わりに

いかがだったでしょうか?

3冊いっぺんに書いてみましたが、少しでも興味を惹かれるものがあれば嬉しいです。

長嶋さんの作品はこの3冊しか読んだことがありませんが、毎回設定が面白く、他の本もまた見つけたら読んでみたいと思います。


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