久々の読書メモです。
2009年に出版されて、沢山の方が既に紹介されていますが、漸く読めました。
気になったところをかいつまんで、記していきたいと思います。
ジョンJ.レイティ (著), エリック・ヘイガーマン (著), 野中 香方子 (翻訳)/NHK出版
構成
- 第一章 革命へようこそ 運動と脳に関するケーススタディ
- 第二章 学習 脳細胞を育てよう
- 第三章 ストレス 最大の障害
- 第四章 不安 パニックを避ける
- 第五章 うつ 気分をよくする
- 第六章 注意欠陥障害 注意散漫から抜け出す
- 第七章 依存症 セルフコントロールのしくみを再生する
- 第八章 ホルモンの変化 女性の脳に及ぼす影響
- 第九章 加齢 賢く老いる
- 第十章 鍛練 脳を鍛える
タイトル通りですが、全編を通じて運動がいかに脳に好影響を及ぼすかということが書かれています。
人間の本来の性質として、「動く」ことが正常で、現代のようにずっと座っている状態の方がちょっと異常事態ということになります。
第二章
BDNF(脳由来神経栄養因子)という神経系の液性蛋白質が重要な役割を果たしているということが、様々な事例で紹介されています。
BDNFは脳のインフラを構築し維持する役割があるというのが、とてもわかりやすい説明でした。
第三章
ストレスについては、気になる方が多いカテゴリーになると思いますが、
ストレスの定義はニューロン(情報処理と情報伝達に特化した神経細胞)の活動を引き起こすもの全てを指します。
それには3種類あり、以下のように分類されます。
- 危険に集中する
- 反応を起こす
- 将来のためにその経験を記憶する
自分で自覚しているよりも、脳は様々なことをストレスとして処理しています。
慢性的にストレス負荷がかかりすぎると、今現在の状況と記憶を結びつけることができなくなり、それが鬱病や不安障害を引き起こすそうです。
第五章
鬱病は脳がフリーズした状態になるため、コミュニケーションの断絶や適応機能の喪失が起こります。
その結果、仲の良かった身近な人を遠ざけるようになったり、SNSと距離を置くことができなくて追い詰められてしまうということが起きるのかもしれません。
こういったストレスや鬱への対処へも、運動が効果を発揮します。
運動をすることで、BDNFが生成され、フリーズした脳に働きかけるのです。
BDNFは長期記憶にも有効であるため、ストレス負荷に対応する脳内環境を構築することができるのだと思います。
まとめ
ラットを使った実験も多く引用されていますが、学生や実際に問題を抱えている人のデータを取って調査されていて、問題の多くは現代の生活習慣に起因し、運動を取り入れたグループが確実に改善しています。
原始の頃からの人類を考えると、
狩猟のために必要だった要素「動く」「コミュニケーションを取る」「学ぶ」ということで脳は鍛えられてきました。
運動により活発化した脳が、学習やコミュニケーションを容易にしているという点で、運動が全てのベースになる重要要素というわけです。
いくつか具体的なパターンが示されていましたが、
一つの例として、
・週4日以上低負荷の運動を1時間程度行う。効果を上げるにはより負荷の高い運動と組み合わせる。
・骨粗鬆症予防には筋トレを取り入れることも重要なので、高齢であっても簡単な筋トレはやるべき。
運動負荷目安⇩
- 低 最大心拍数の55%~65%
- 中 最大心拍数の65%~75%
- 高 最大心拍数の75%~90%
不摂生や過度なストレスで萎縮してしまった脳でも、運動習慣で修復され、活性化されるという調査結果もでており、年齢に関係なく脳を鍛えることが重要であるというのは、一つ希望になりますね。
ダイエットに有酸素運動は非効率というのを学んでから、積極的に運動する気にあまりなれなかったのですが、脳のために運動しようと思いました。
全員必読本だと思いますので、是非手に取って読んでみて下さい。
勝間和代さんのYouTubeでも紹介されていたので、興味のある方はこちらもどうぞ⇩
勝間和代のブックレビュー「脳を鍛えるには運動しかない」