読書メモです。
少し前に漫画化され200万部を突破した話題作なので、ご存知の方も多いと思います。
私は本屋で度々その表紙を見ていましたが、「(羽生善治のラフ肖像画…?)」とか思って手に取ることもなかったので、何についての本なのかも知りませんでした。
ではなぜ読んだかというと、またまたvoicyの荒木マスターが紹介していて、面白そうだったからです。(前回の荒木さんきっかけの記事はこちら⇒『自分の成長を阻害しているものは何か?』)
著者:吉野源三郎 / 岩波文庫
漫画が大ヒットしている中で、あえて当時に出版された文庫を図書館で借りた私のあまのじゃく具合はおいといて。
先に感想を一言で言ってしまうと、とてもいい内容でした(語彙力の薄さ)。
ざっくりとあらすじを書くと…
主人公は、父親を亡くし母親と暮らしている少年です。
彼は日々身の回りで起きていることについて自分なりに考え、その考えについて叔父さんと会話をするのが習慣になっています。
その二人の会話(対面であったり手紙形式であったり)をベースに、少年が『社会の中で生きること』について考え成長していく物語です。
この2人の会話…というか、この本自体は1930年代に若者に向けて出版されたものですが、2020年の今読んでも深く感じるものがあります。
私なりの解釈と言葉で、彼らが話していた内容を一部紹介します。
- 天動説のように、自分を中心として物事を捉えていないか、地動説のように広い視野で俯瞰して物事を見ることができるか。
- 教訓や思想を「学ぶこと」と「体感すること」は全く別のものであり、学んだことをどう自分で咀嚼して解釈するかが重要である。
- 偉人が偉人である所以は、その素晴らしい"活動力"であり、人々は何かを成し遂げて行く力に魅了される。
- 弱さを知っているというのは、後悔や傷ついた過去があることを意味し、それは他人を理解する上で大事なものである。自分で自分の行動を決定する力を持っている。
改めて、考えて、心に留めておきたいと思うことばかりです。
特に、3つめの偉人が偉人である所以については、行動したかどうかについて語っています。
『心がけを活かしきれない小さな善人は空しい。』と叔父さんは言い切っていて、思うだけで終わりにしているものはないか、やらない言い訳を作ってしまっていないか、ハッとさせられます。
ここからはちょっと本の内容とはあまり関係なく飛躍になりますが…
最近他の本でも、書いてある内容に興味深く引き込まれて読んでいたものが、後で出版年を見て驚くということがありました。古さを感じないのです。
これが"古典"と呼ばれるものなのでしょうが、そういえば、こういった感覚は人間だけが体感するものだなと、ふと思いました。
つまり、科学や技術は日々進化して、どんどん便利になっていきます。
特定の分野が取って代わって衰退することはありますが、後退することは稀です。
なぜそれができるかというと、情報や技術として蓄積し継承できるからです。
しかし、人の頭脳・内面に関するものは、その1個人の内部のことなので、先人の知恵や考えを持っている状態で生まれることはできません。
人はすべてゼロスタートで始まって、1度きりの人生しか歩めないためです。
何百年前の人が現代人と同じようなことを感じていたというのは、実際に古文などにも残っています。
しかし、それらを読んで学んで頭で理解することはできても、やはり自分の身をもって体験して感じることがないと、そこに書かれているものを会得することはできないのです。
こう考えると…
他人と比較しなくていいといいながら、それを根底では許していない社会に窮屈さを感じていましたが、
自分が心地よく生きていく上で、楽しく後悔なく取り組めることに情熱を注いでいければいいのだなと、
自分なりに勝手に解釈してみました。
本の内容にあった2から3の活動力に通じる話ですね。
激動の中で、結局は何が正解かわからない世の中になったことを逆手にとり、
基準は自分の中にあり、最後に「いい人生だった」と一瞬でも思えれば、悪くないのではないでしょうか。
あなたはどう生きますか?