みなさん、「信念」という単語を聞いてどういう印象を受けるでしょうか。
「あの人は強い信念がある」「信念を持って行動する」など、強い意志を持つプラスの言葉として捉えられることが多いのではないでしょうか。
私も「信念」と聞くと、なにかちょっと崇高な志があるイメージでしたが、今日はそんな「信念」が、時としてマイナスに作用する場面があるというお話をしたいと思います。
このブログでたびたび紹介している【Voicy】という音声メディアがあるのですが、文藝春秋編集部が行っている『文藝春秋channel|聴く雑誌』という番組があり、
文藝春秋digitalプロジェクトマネージャーの村井 弦さんがいつもはお話されているのですが、今回は番外編ということで、フリーアナウンサーの外村 倫子さんが村井さんにインタビューするという形式で行った回で、その中で触れられていた話になります。
外村さんから村井さんへのインタビューは、事前に学生から編集者である村井さん宛に集められた質問を元にしています。
色々な質問が続く中で、村井さんがなぜ編集の仕事をしているのかという流れに当然なりました。
村井さんは大学の時は商学部にいたそうですが、元々本が好きだったので編集の道へ進んだそうです。
しかし、1年目に配属されたのは週刊誌の部署。やりたいと思っていたのとは違う方向の仕事でした。
事件被害者のご家族へインタビューしにいったり、自分が特別やりたかった仕事ではなかったそうですが、
“なかなか他の人が携われないような仕事を体験できている”という好奇心で仕事を行っていたそうです。
一方で、仕事がとても出来る同期がいたそうなんですが、その彼は信念を持って入社しており、自分はこんな仕事をするために入ったのではないと言って途中で退職してしまったそうです。
「信念」という言葉は「それが正しいと固く信じ込んでいる心」を指すので、正解・不正解は自分の心ひとつです。
それに依存しすぎてしまうと、実際には後々どうなるかわからないものを、その時点で不要なものとして選択肢から除外してしまうので、自分で未来の幅を狭めてしまっていることになります。
また、村井さんは好奇心と同じように柔軟に対応する大切さについても話していました。
特に好きなことがないのだが、どうやって仕事を決めたらいいかという質問に対して、
絶対やりたくないこと以外なら好きになる可能性があるので、そういった仕事に就いてみて、まずはその仕事に取り組んでみて、自分の興味関心が何に向くのかをみるのもいいのではというようなことを答えていました。
これにはとても共感しました。
社会人経験も浅く人生経験も少ない段階で、自分の興味の範囲を限定してしまうのは、時期尚早であり、もったいない気がします。
身近なことで考えてみても、食わず嫌いだったエピソードが1つや2つみなさん持っていると思います。
些末な例ですが、私は昔、読む本のジャンルに偏りがありました。
推理小説はすごく面白いもの、ノンフィクションは暗い・面白くないというイメージを持っていました。
しかし何かのきっかけで、星野道夫さんのアラスカについてやそこでの暮らしのエッセイを読んでから、リアルに存在する人の生き方や考え方、知らない土地の文化・習慣を知ることがこんなに面白いのかと衝撃を受け、
星野さんの文体や写真のすっかりファンになりました。
仕事の面では、前職はライフスタイル提案型のお店で販売員をしていましたが、アパレルを担当したいなぁと最初は思っていたんですが、辞める頃には植物や雑貨部門の方が断然興味があり、最初とは違う結果になっていました。
ここで好きになった植物は今でも私の生活に潤いを与えてくれています。
また現職でも、資料チェックや作る作業(制作)に興味がなく、つまらない仕事だと思っていましたが、
意外と集中して取り組むことができ、他の人よりもきちんと内容の不備に気付けたり、全く作れる気がしなかった運営マニュアルをある程度形にできたりとか、そういったことで達成感を得られ、それを作る意味というのもきちんと分かるようになりました。
好奇心を持って柔軟に物事に向き合うことで、それが後々自分にとって何らかの役に立ったり、やってみることで自分に本当に合わないのか、実はけっこうできるのかということがわかります。
もちろん強くやりたいと思っていることがあって、最短距離でその場所に行ければいいのですが、できない場合は他の方法でそこに到達するために柔軟に対応する必要性がでてきます。
仕事としてできなくても、副業として小さくトライしてみるというのはよく言われていることですが、
そうやって1つに固執しすぎるのではなく、沢山の選択肢を選べる状態にしておいた方が、人生は豊かになるし、あれをやっておけばよかったというような後悔も極力減らすことができるのではないでしょうか。
私も口だけでなく、色々な事に挑戦して楽しんで生きていければなぁと思います。
では、また