コロナウィルス感染拡大防止のため、早いところでは2月からイベントが中止になり、
3月には小売店の時短営業が始まり、"通常"稼働ができなくなって、
5月の緊急事態宣言で不要と不急と見なされたものはほぼ営業停止となったわけで、
自粛が解除された現在も、営業は始まっていますが"元通り"とはいかない状態になっています。
ECサイトがあれば実店舗はいらないのか
アパレルを元にして話をしますが、自粛が本格化されるまえの3月時点の売上からすでに影響はでており、アパレル大手でも前年より40%以上落としています。
帝国データバンクが、アパレルを中心とした衣服類販売を手がける上場企業のうち、ホームページなどで月次売上高を公表している23社の実績を集計した。全店ベースでも既存店ベースでも、売上高が前年実績割れとなったのは21社(構成比91.3%)だった。
上場アパレル小売業の3月の売上高、9割超で減少、新型コロナの影響本格化
元々ECサイトに力を入れているところもありますが、それでも実店舗の売り上げをカバーできるほどには機能していないということです。
先ほど引用した記事によると、逆に売り上げを上げていたのは、『西松屋チェーン(既存店ベースで21.3%増)とワークマン(同17.7%増)の2社』ということですが、
こちらは、ファンを多く抱えている状況が確立されており、ブランドの派生が少ないため、ファンが分散していないのと、
それにより、サイズ感をある程度把握できている為、ECで購入することにハードルが低い状態なのかもしれません。
ECサイトに向いているお店・向いていないお店
人気のあるアパレルブランドでも、ECサイトで伸びない理由は、
- 新規登録の手間
- サイトの使い勝手の検証が徹底できていない(検索・サイズ・購入手続きなど)
などが挙げられると思います。
ファンであっても、思ったような検索ができなかったり、専用のアプリを入れないといけなかったりとなると、購入ボタンを押す前のハードルがあり過ぎて辿り着かないことが多いです(送料もかかるし)。
そもそもECサイトで購入するということは、インターネットで検索して、オンラインサイト目がけてくる人なので、
ファッションへの興味が高い人や、操作が苦にならない人、つまりスマホやPC操作が簡単に行える環境にある人で、インターネット決済にも抵抗が少ないITリテラシーがある程度ある人になります。
こうなると、けっこう対象が絞られるのがわかるかと思います。
このあたりの説明がMBさん(ファッションバイヤー、アドバイザー、ブロガーなどなど)のYouTube『ZARAとユニクロのビジネスモデルについて語る』でとてもわかりやすく解説されているので、興味のある人はご覧ください。
要は、実店舗やオンライン上で地道にファンを獲得してきたお店にとっては、オンラインでの展開は成功しやすいですが、
次のようなブランドは、コロナ禍なのでECをフル稼働させたところで、今まで実店舗で稼いでいた分を回収するのはかなり難しいといえます。
- ターゲットが子供からお年寄りまでのように広く設定しているブランド
- コアファンを獲得しきれていないブランド
- オンラインサイトの使い勝手が悪いブランド
リアル店舗の価値の見直し
では、全てのブランドがECに全力をかければいいかというとそうではなく(準備をしておくことは必要ですが)、
消費者が外に出たい、買い物にしたい、単純にぶらつきたいという欲求は上がってきているので、
結局はその時に、どう顧客を取り込めるかというところにかかってきます。
(現状は感染症対策をしながらなので、店内の人数制限をしたり、入り口で消毒必須にしたり、検温したりと、ただでさえ厳しいスタッフ数で回している中で、工夫を余儀なくされていて、本当に大変だと思いますが。。。)
買い物に出る人は、やはり商品に触れて、自分に合うかを直接確かめ、他のお店のものと比較したりしたいものです。
実際に見て自分で決めているという『納得感』が大きいと思います。
店舗は、いかに入店客数と客単価を上げられるかということになってきますが、入店したら最後みたいなグイグイくるような接客は嫌がられます。
そんな時にも役立つのが『ディスプレイ』の力です。
商品の飾り方、視界に自然に入る場所の賑わい感があると、人は興味を持ちます。
人が店内にいると"人が人を呼ぶ"という現象が、面白いほど本当におきます。
店舗内の商品の見せ方、POPの出し方など、些細なものが人の判断に影響を与えています。
現状は『安心・安全の可視化』も必要になってくるかもしれません。
店舗スタッフのオペレーションももちろんとても大事ですが、ディスプレイが接客なしでも購買意欲を掻き立てる手伝いをしてくれる場面は沢山作ることができます。
侮るなかれ、ディスプレイの力(参考過去記事:⇒『ディスプレイとは』)
今回はアパレルを例にしましたが、これは食品や雑貨でも同じことがいえます。
スーパーでは売り上げは落ちていないものの、売れるものに偏りが起きているという事象も、商品陳列・レイアウトの違いで改善することは可能なのです。
オンライン疲れした人たちがこれから徐々に外にでてきて、今後はより一層リアル店舗での体験が重要視されてくるでしょう。
では、また